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狭窄と逆流のモデル

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年12月11日(火)11時50分16秒
  そういうわけで,半波整流波形モデルを使って,大動脈弁Diodeに直列に抵抗を入れて「狭窄部」を,
また並列に抵抗を接続して「逆流路」を作ると,「大動脈弁狭窄」や「大動脈逆流」の時の
血流や血圧の大まかな様子を知ることができる。これらの値を調整することによって,どのような
影響が現れるかが,ある程度分かる。下でも言ったように,定量的な議論をする場合は,目的に
合せてさらに細かいシミュレーションや実験データに基づく各部の定数を決めて与えなければならない。

図1は,ほぼ正常状態。狭窄抵抗1Ωは負荷抵抗1.5kΩの1/1500で狭窄は無し。逆流抵抗100MΩは
負荷抵抗の6.7万倍で逆流は無し
図2は,狭窄抵抗100Ωで,負荷抵抗の10%もあり,かなりひどい狭窄。
図3は,逆流抵抗1.5kΩで,負荷抵抗と同じなので,これはかなりの逆流。

それぞれの大動脈血圧(青)と大動脈血流(狭窄抵抗内の血流I(狭窄))(緑)を示す。
心内圧(赤)はすべて同じ(本来は,狭窄や逆流の影響で変わってしまうのだが)。

それそれの大まかな値は
図1(正常) 血圧120/75 血流駆出時間140ms 血流ピーク値716mA
図1(狭窄) 血圧 90/60 血流駆出時間245ms 血流ピーク値270mA
図1(正常) 血圧120/54 血流駆出時間170ms 血流ピーク値811mA 逆流ピーク-67mA

数値の細かい値は気にせず,互いの比較の上で見ることが大事。
血圧で言えば,狭窄があれば最大も最低も下がる。逆流では最低がかなり下がり脈圧が大きくなる。
血流は非常に変わる。正常を基準にすると,駆出時間は,狭窄では1.75倍,逆流でも1.2倍になる。
ピーク値は,狭窄では0.38倍に,逆流では1.1倍になる。
逆流では逆正のピーク値の比は-67/811=0.08であるが,逆流時間は(1周期-駆出時間=)663msとなる。

血圧は,だいたいこんな傾向だろうと思うが,血流については,ピーク値はこんなに高くならない
(正常と逆流)だろう。なぜなら,実際には大動脈部の血液の慣性(イナーシャ)の影響を考える
必要があるからで,これを考えるには,ダイオード直後に適切なインダクタンス(L)を挿入する
必要があり,この程度の簡単モデルではなかなか実際には近づけない。しかし,大まかな傾向は
この程度の簡単モデルでもつかめる。これらの波形を循環生理との関係で考えると興味深い。

以上,平滑回路の延長線上で,心臓大動脈部の簡単正常・狭窄・逆流モデルの紹介でした。
(下の図をクリックすると「拡大表示」されるので,細部が読み取れる)
 

こんな風かな

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年12月11日(火)10時05分37秒
編集済
  図上段は,心内圧を正弦波半波整流波形にしたもの
図下段は,心内圧を方形波(矩形波)にしたもの(ただし,立上がり立下りを0.05sに設定)
影響するのは,動脈圧の立ち上がり部分と頭の部分の波形。エクスポーネンシャルに
下がる部分は変わらない。ただし,駆出時間(駆出期間)は,方形波ではON時間全体
だが,半波整流波形ではピークに達するまでのごく短い部分。
なお,方形波では,コンデンサには立ち上がりの0.05秒に大量に流れ込んで,これを溜めて
方形波圧ピーク時の0.25秒間は流れ込まなくなる。ため込んだ血液(電荷)はその後
負荷抵抗に徐々に放出される。

ただし,この程度のシミュレーションでは,波形の細部や値を検討するは不適当である。
ウインドケッセルモデルは,大まかな「各部の役割」を知るのが目的で,定量的な解析結果を
求めているわけではない。
(その意味で,各部の役割を知るには「半波整流モデル」のほうがいいと思う。)
 

矩形波なら

 投稿者:もも  投稿日:2018年12月11日(火)08時04分57秒
  塾長

動脈圧波形らしくなりますね。
心室圧は矩形波に近いですが、この回路に矩形波を入れると出力は計はどうなりますか。

 

心内圧シミュレーション3態の出力波形

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年12月10日(月)14時00分8秒
  下で示した「3態」の出力波形を見てみよう。

まず図1は,大動脈弁Diode以下の負荷が抵抗だけの回路の場合。いわゆる半波整流出力波形である。
「3態」はどれも同じ波形をしている。

図2は,抵抗負荷にコンデンサを並列にしたもの。末梢時定数を1秒に設定したので100Ωと10000uF。
これの主力波形も3態どれも同じである。
しかし,よく見ると,下段だけ,立ち上がり部分が,上段・中段と違うのがわかる(?カナ)。
 これはコンデンサへの充電時定数(充電の速さ)の違いよるものである。上段・中段は,電源から
大動脈Diodeだけを介してコンデンサに充電されるので,その時定数はゼロである。この回路では
Diodeは理想ダイオードを扱っており,順方向抵抗がゼロなので,0Ω×10000uF=0秒というわけ
なのである。しかし,下段は,電源の内部抵抗に0.01Ωを入れたので,時定数は100μ秒と小さいが
ゼロではないので,若干の遅れがある。と,ここまで書いて,よ~~く見ると「変わらないじゃないか!」
って思った。この小さな図で100μ秒なんて分かるわけがねえ!な。まあ,こんな過渡現象も
すぐに定常状態になって,全体的に見れば「波形はすべて同じ」といえる。

要は,この程度のシミュレーションで出力側(すなわち,動脈系)の応答波形を見る分には,あまり
心内圧にこだわらなくてもいい!という結論になる。
ただ,弁に逆流がある場合(大動脈弁閉鎖不全)などをシミュレートしようとすると,逆方向
に流れる先の圧力がゼロなのか「負」なのかは,大きく結果に影響してしまうので,下段の
ような心内圧シミュレーションが必要になる。このことの例はまた今後提示しよう。
 

心内圧シミュレーション3態

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年12月10日(月)13時08分13秒
編集済
  循環の簡単なシミュレーションをするとき,これまで,電源として「正弦波」を使い,大動脈弁
としてのDiodeを通して出力することで,半波整流波形や平滑回路波形を示してきた。
しかし,Diodeの入力側の波形は,本来は心臓内圧だから,半波整流波形のような形をしていて
負の電圧はないはずで,正弦波のように負の方向にも正の方向と同じ波形があってはおかしい
のである。そこで,電源にもう1つDiodeを逆方向につけて,接地側につないでやれば,負電圧
はアース電位(ゼロ)になるはずで,負電圧の無い半波整流波形になるはずである。

やってみると,面白いことがわかる。LTspiceの電圧源は,本当の意味の電圧源で,内部抵抗が
ゼロであるので,どんな負荷をつけても(ショートでない限り),電圧源の両端の電圧は変わらない
のである。当たり前なんだが,改めて実施してみて「ああ,そうなんだ」と思った次第。
そこで,大動脈弁Diode以下の回路に影響を与えないほど小さな抵抗を電圧源に直列につける
ことによって「若干の内部抵抗を持った電圧源」にすることによって,上記の問題を解決した。

その過程を下の図で示す。それぞれの回路は
上段は,正弦波電圧源をそのまま使って大動脈弁Diodeを介して負荷抵抗につないだもの
中段は,正弦波の負電圧側をカットするためにダイオードを電源に並列に逆向きにつけたもの。
下段は,電圧源に0.01Ωの内部抵抗を直列にしれたあとに,逆向きダイオードを入れたもの。

それぞれの内圧(心内圧)は,
上段では,当然ながら電源の電圧そのものの「正弦波」
中段は,正弦波の負側をカットして,半波整流波形にしたつもりが,上段と変わらない「正弦波」
 になってしまっている。上記に説明したように,内部抵抗がゼロなので,負荷に何をつないでも
 (たとえダイオードつないでも)その出力は「正弦波」のままなのである。
下段では,電圧源に直列に0.01Ωの内部抵抗を繋げたので,ダイオード逆接続の効果が現れ
 (これをゼロクランプという)マイナス側はゼロに抑えられた半波整流波形になっていて
 一応,心内圧がシミュレートできている。
 

LTからADへ

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年12月 9日(日)10時41分21秒
  電気メスによる「PM障害(?)」についての議論が,いつのまにか「平滑回路」になっていったね。
まあ,ここは,思いつくまま気の向くまま・・・の世界だから,それはそれでよいことにしよう。

ここで,たびたびLTspiceでのシミュレーションを示すよね。
LTspiceは「無料で無限に使える”電子回路シミュレータ”」です。LT=Linear Technology
(ICメーカのリニアテクノロジ社)が開発したものです。ただし,リニアテクノロジー社は
アナログ・デバイセズ社に買収されて無くなったんですが,このシミュレータの名前は
そのままLTspiceです。ダウンロード先がAnalog Devices社のHPになっています。しかし
"LTspice"で検索すればすぐ出てきます。ちょっと大きなソフトですのでDLに時間がかかります。

LTspiceのバージョンは上がっていって,現在LTspiceXVIIです。機能は豊富で,私も1/10程度
しか使いこなせていません。従来のリニアテクノロジー社の製品以外にアナログ・デバイセズ社
のOPアンプも多く組み込まれて,一層使いやすくなっています。

しかし,ここで紹介しているモデルや解析波形は,複雑な電子回路ではなく,ほとんど受動素子
の回路です。電子回路というより電気回路です。専門家は高度な電子回路の開発や動作確認の
ために使っていると思いますが,私は,もっぱら「教育指向LTspiceユーザ」です。高度に使えない
言い訳ですが,「LTspiceは電気の基礎教育にもってこい!」のツールです。皆さんもぜひDLして
日々の学習そして日々の仕事での疑問の解析に活用してください。

ただ,ちょっと「使いこなしのコツ」があることも確かです。解説本もNet解説も数多くあるんですが,
それらは,やはり「電子回路マニア」に向けたものが多く,読むのに骨が折れるトッツキニクイ
ものばかりです(初心者用と銘打っているのもありますが)。まあ,習うより慣れろで,使ってみて
分からなくなったら「使ってる人」に聞くこと。私は,一人で黙々と調べてきたので,初心者が
「何が分からなくて,どうしたら分かるようになるか」を専門家より分かっているつもりです。
必要に応じて質問してくれれば答えます。

早速,下記からダウンロードしてインストールしてください。

https://www.analog.com/jp/design-center/design-tools-and-calculators/ltspice-simulator.html


 

大動脈は平滑回路

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年12月 8日(土)12時41分2秒
編集済
  心内圧は半波整流波形に近い波形をしている(正弦波の上半分に近い)。ところが大動脈圧は
上昇部分は正弦波の頭部分にみえるが,後はダラダラと下がり続ける。130/70は心内圧の最大値
とだらだら下がっていく大動脈最小圧を示している。
大動脈は良く知っているように,弾力に富んでいて,血流が一気に押し出されると膨らんでこれを
いったん貯める。大動脈弁が閉まると,溜まった血液が末梢に徐々に押し出されていく。
こうやって,大動脈圧は,半波整流波形のようにガタガタにならずに,ほぼ直流になって,
安定に末梢臓器に血液を送り出している。(いわゆるウインドケッセルモデル図2)

この仕組みは,まぎれもない「平滑回路」である。図1を見ていただきたい。
心内圧120V,1.2Hz(脈拍数72に相当)が大動脈弁を通って,大動脈の弾性(Cで模擬)に入って,
末梢抵抗(RL)に供給されるLTspice回路である。
この各部の波形を右図に示す。それぞれの波形の対応は,
半波整流の心内圧(青),大動脈圧(赤),大動脈弁を流れる心拍出血流(濃緑),Cの電流(薄緑)。
これらの波形は,生体内の波形とほとんど等しい。ここで注目すべき点は,
①大動脈の上昇部分は,心内整流波形(半波正弦波)の一番高い部分のほんの一部
②大動脈圧は,ピーク後,だらだらと下がる(時定数CRで指数関数的に減衰する:この例では1秒)
③心拍出血流(濃緑)は,大動脈圧が上昇していく過程のほんの短い時間しか流れない。
④大動脈に溜まる血流を表すCの電流(薄緑)は,流入時はほぼ心拍出血流(濃緑)と同じ
⑤心拍出が止まった後,Cを流れる電流は上向き(図では-方向)に流れる。これは末梢抵抗に供給される。
以上から「大動脈は,急激な心拍出を一旦ため込んで,大動脈が閉まったあと,徐々に末梢に供給している」
ということが分かる。まさに,大動脈は平滑回路を形成しているのだ。

このことは図2に示すような「ウインドケッセルモデル」として昔から大循環の一番簡単なモデルとして
使われてきたものである。
なお,この回路で,Cを変えたり,RLを変えたりして波形の変化を観測すると面白い。そして,その意味を
考えると循環生理と結びつく。また,Diodeと直列に抵抗を挿入すると「大動脈弁狭窄」が模擬できる。
(さあ,LTspiceを始めてみよう!)
 

怖い突入電流

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年12月 7日(金)20時59分37秒
編集済
  コンデンサインプット型(平滑用コンデンサの前に抵抗がない型)の平滑回路は,下の説明のように
他の方式より,ダイード電流のピーク値がかなり大きいのだが,実は,スイッチをオンにした瞬間の
電流は,定常状態の電流より,これまたバカでかくなる。

図1は,ダイオード整流後コンデンサインプット型の平滑回路をつけて,負荷抵抗に供給する
回路の一番初めの過渡現象であるが,電源オン時は,通常の2倍以上のピーク電流が流れる。
半波整流の入力はピークが10Vの50Hz交流だから,これが負荷100Ωにつながれたら,10V/100Ω=0.1A
しか流れないハズが,なんで3A以上流れるんだろう?(←こういう疑問が大事だよ)。この電流は
どこに流れていくのだろうか?実は,これは,平滑用コンデンサ1000uFに向かって流れていく。
すなわち,この電流は,平滑用コンデンサの充電電流なのである。一番初めは,コンデンサには
電荷がたまっていなかった(電圧がゼロだった)ので,これに急激に流れ込むわけである。
その結果,急にコンデンサの電圧はピーク電圧まで上っていくのである。この電流は当然,Diode
を通るのであるから,「大きくても10V/100Ω=0.1A程度しか流れないだろう」と思って,1A(MAX)
の容量しかないDiodeを使うと3Aも流れて,Diodeを破壊することもある。この最初の電流を
突入電流というが,これに耐える設計をしなければいけないし,こういうことが起こり得る
ことを知っておく必要がある。(ある意味「電気工学」の面白さんだが)

ついでに言っておくと,図2は,ダイオードの単純整流回路だが,入力側のピーク電圧と
出力側のピーク電圧が,わずかに違うことが分かるだろう。出口のほうが若干低いのである。
これは,Diodeの順方向電圧降下(順方向ドロップ)と呼ばれるもので,半導体Diodeの宿命で
Diodeに電流が流れ出るには,ある程度以上の電圧が必要で,それ以下では流れないのである。
常に,出力電圧よりこの電圧だけ高い入力電圧が必要なのである。この順方向電圧は,通常
0.5~0.8Vくらいであるが,まあ,0.6Vと覚えておいて間違いはない。入力電源が高い時
(100Vとか)はこの程度の電圧は無視していいが,入力が3Vの交流を整流しようとしたら,
出力は2.5V になってしまうなんてことが起こる。このことも電子工学の常識として覚えておこう。
 

平滑回路とは

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年12月 7日(金)09時37分58秒
  交流から直流をつくる回路を「整流回路」という。
ただ,ダイオードを通しただけでは,半波整流にしろ両波整流にしろ,ガタガタ波打った
直流で,こういうのを脈流と呼ぶ。要は,直流と交流が混ざった波形である。これを,
そのまま電子回路(増幅回路など)の電源として使うと,含まれている交流成分が動作
に影響を及ぼし,出力波形にその交流成分が乗って(重畳して)しまい,これが雑音と
なり,本当の信号の観測を妨げてしまう。
このため。電子回路の電源は「純粋な」直流が求められる。電池はそれにあたるが,
長時間駆動するものの電源としては不便である。そこで,交流から直流を作って使うの
だが,整流まではダイオードでできるが,ほぼ完全な直流(時間的に変化しない電流)
にするには「平滑回路」が必要になる。平らに,滑らかにする回路である。

簡単にいうと,脈流に含まれる「交流」成分を取り除き,「直流」成分だけにすればいいので,
電気回路論的には"LPF"(Low Pass Filter)である。一般のLPFは,RCフィルタの場合,
図1のような形をしている。カットオフ周波数は1/(2πCR)である。RC時定数を大きくとれば
交流はほゞカットされる。図の回路で時定数を上げるため,Rを大きくすると,Rよる電圧降下
によって,負荷に十分な電圧を供給できない。

それではRの大きさによって,波形がどのように変わるかを図2で見てみよう。
上段は単純な半波整流回路で,出力は,水色で示した,半波整流波形(正弦波の上半分)である。
中段が,LPF回路で出力波形は赤色で示すように,コンデンサの前の抵抗R1の値によって
大きく変わる。R1=1Ωでは,ほぼ半波整流音ピーク値当たりになるが,R=10 Ωでは60%程度
になる。R=100Ωでは1/3以下になってしまる。ただし,ギザギザ(リップルと呼ぶ)は,Rが
大きくなる(時定数が大きくなる)ほど小さくなっている。
下段はR=0にして,コンデンサをダイオードに直結した形である。この時の出力波形は,一番上の
緑色の波形で,ほぼ半波整流のピーク値付近を示している(リップルは大きいが)。

上記の下段回路が,いわゆる「平滑回路」である(ただし,もっとも単純な)。この回路は,もとの
整流波形のピーク値をなぞっていくような波形であるので。これを「包絡線検波」と呼ぶ。包絡線
とは変相波形などのピーク値を繋げてなぞった線のことである(外郭線とでもいうのだろう)。

図3は3つの回路の出力電圧(上段)とダイオードに流れる電流I(D)(下段)を比較したものである。
単純半波整流波形のガタガタがLOFや平滑回路(コンデンサインプットのLPFと呼ばれる)では
ほぼ滑らかになっている。ただ,図3上段は,ダイオードを流れる電流を表したものだが,単純半波整流
では,予想通り,正弦波の上半分の電圧が負荷抵抗にかかるので,ピーク電圧10V時でも,ピーク電流
は10V/100 Ω=0.1A程度である(一番下の青色波形)が,中段のLPFでは,ピーク電流は3倍の0.3A
(赤色波形)になる。さらに下段のコンデンサインプットの平滑回路では,ピーク電流は,実に1.4A
を超える。この大きなピーク電流は,コンデンサを充電するのにつかわれる。

最後の平滑回路のコンデンサに流れる電流の詳しい解説は,また次回に。
 

いいところに気がついた

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年12月 6日(木)18時15分49秒
編集済
  ももちゃん,そうだね。凝固のバースト周期は20kHz くらいの繰り返しだから,単にこれを整流
しても,20kHzの直流パルスができるだけになる。これではたぶん,刺激はないだろう。
しかし,次のことがあれば筋刺激される。
下の「>過渡応答  投稿者:Tessho  投稿日:2018年12月 2日(日)10時29分56秒」のところで
言ったように,メス先が接触した瞬間の整流では,コンデンサ(電気メスの出力回路には
JISで定めているように,直列に5000pF以下のコンデンサが挿入されている)には一瞬だけ整流
された直流成分が流れる(すぐに減衰するが)。これはメス先が断続接触するごとに発生する。
だから,切開にしろ凝固にしろ,メス先断続接触(例えば0.1秒ごとに)で,パルス状の直流成分
が発生し,これが筋刺激をすることはあり得るね。

下の図は,簡単に500kHzの正弦波300V(ピーク値)が入った時に,負荷抵抗500Ωに流れる電流を
接触時を分かりやすくするため10ms遅れで表したものだが,初めの数msの間,パルス状の直流が
ながれるのがわかる。下段は,負荷抵抗にコンデンサを並列接続して高周波を消して表した波形
で青色で示している(これを包絡線検波とよぶ。この件は,平滑回路の説明でまた説明する)。

断続接触の周期で,断続直流パルスが流れ,これが筋刺激のトリガになることは考えられる。
 

バースト波だと

 投稿者:もも  投稿日:2018年12月 6日(木)16時11分15秒
  塾長

塾長の説明で電メスで高周波電流がOn/Offされる時に直流成分のパルスのようなノイズが出るのは理解できました(分かっていない部分もありますが...)。
そうだとすると、今回の頻拍は凝固モード(バースト)の時に発生していることと因果関係がありそうですね。
ただ、バーストの周期はかなり早いですよね。
 

メス先の断続接触

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年12月 3日(月)14時45分31秒
  ハイハイ,閑話休題。お勉強モードに戻って・・・

凝固の際は,メス先を「チッチッチ」と断続接触させる。この波形をLTspiceで模擬するのは
ちょっと面倒。「電圧制御スイッチ」という素子を使う。外部電圧を高低のパルス状に入れて,
スイッチをon/offする。(on抵抗を設定,off抵抗を設定,立ち上がり時間,立下り時間,on時間,
周期・・・等々の設定が必要・・・面倒!)

これで,電気メスのon/offを模擬する。

図1は,0.1秒on,0.1秒offを繰り返して負荷抵抗500Ωに供給した波形。青色はスイッチのon/off信号。
赤の波形は500kHz(±300V)なんだが,つぶれて波形は見えない。

図2上は,上記の波形を理想ダイードを通して負荷につないだ波形。電圧をみると0-300Vの片側に
振れているのが分かる。これもつぶれて判読できないが,半波整流出力波形である。
図2下は,負荷抵抗500Ωに並列に,0.1μF(0.1uFと表記)のコンデンサを接続して,平滑回路を
形成し,その両端の波形をみたものである。ほぼ,0-300Vのon/offパルスになっているのが分かる。

図3上は,図2の波形がつぶれて詳細が観測できないので,電気メス電圧を50Hzで模擬して,波形
を強調したもの。ダイオードで半波整流された50Hzが0.1sごとにon/offされているのが分かる。
図3下,これを100uFのコンデンサで平滑化したもので,平滑の様子がよくわかる。

電気メスのメス先を断続接触させたときは,単に図1のように断続した500kHz高周波になるだけで,
あくまで「高周波」なので,ペースメーカなどには影響しないハズ。しかし,電気メス・メス先の
アーク放電に整流作用があれば,図2のように,半波整流もしくは不完全な半波整流(主に,+側に
流れるが,-側も流れる)が起こって,直流成分が生まれる。この電圧が,組織の静電容量成分や
電極等の静電容量部分によって,平滑化されると,はっきりした直流パルスになる。今回の提示は
このことを示したかったのである。

なお,たぶん,平滑化波形でなくとも,半波整流のパルス波形でも,イオンは一方向に引っ張られる
ので,細胞の刺激トリガにはなり得ると思う(この辺は,もう少し考えてみるが)。

なお,諸君の中には,学校で習った「平滑回路」をキチンとは理解していない人がいるかもしれない。
おいおい,これも説明していこう。
 

スピーディー・ステッチャー

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年12月 3日(月)09時33分44秒
編集済
  ちょっと「休憩」・・・・

皮革・帆布の手縫い用のスピーディー・ステッチャー(stitch:縫う)というのがある。(図1)

数年前に買って,キャリーバッグの前ポケットの蓋に,マジック・ファスナ(と覚えていたら
面ファスナっていうんだね)をつけるのに使った。その時,ノリ付きの面ファスナを使ったため
針にノリがこびりついて往生したことを覚えている(アルコールで一生懸命こびりとった)。
最近でも安いリュックの肩ひも(ショルダーベルト)のホツレを縫ったりした。一応,革も
縫えるが,本格的には何も作っていない。アマゾンでも買える。2000円くらいからピンキリ。
いくつかのメーカのものがあるようだが,原理構造はほゞ同じ。

ところで縫い方だが,図1の下に示してあるが,図2のほうが分かりやすい。革などに針を刺して,
向こう側に出た糸にタルミを作り,そのタルミ穴に向こう側にある糸を通し,また針を引くと,
針についていた糸と向こう側の糸(下糸)が絡み合って,縫うことができる。

文章で言っても分からないし,図2を見ても分からん思うが,ネット・YouTubeで探して
動画を見てもらうと分かると思う。基本はミシンと同じ原理のようなので,ミシンの原理
の動画がネットにあったので貼っておくと
https://grapee.jp/141555
これを見るとよくわかる。初めにこれを考えたヤツは本当に,エライ!!!

こんなものでも縫えるんです。要は,穴あけと糸通しを同時に行えて,ちょっとした手作業
(たるみに下糸を通すという作業)を加えて,針を手前に引けば「スピーディーに縫える(stitch)」
ってわけです。

ところで,原理は分かったので,Speedy-Stitcherを買わなくても,図3のような針穴付きキリで
やれるんではないかと,ebayで一本165円で買った。思った通り使える。ネットでは,ミシン針を
使って自作してる人が結構いる。まあ,出来ることは分かったんだが,何を縫うかがない。

いつものことで「こんなんで使えるんかい!」ってのがすべての始まり。だから「まあ,つかえるじゃん!」
となればそれでいいんだ,私としては。(無駄遣いと言えば無駄遣い)

ちょっと休憩の話題でした。(いつも休憩してるんだが・・・)

図1 Speed Stitcher
図2 Speed Stitcherで縫う手順と原理
図3 Needle Hole Punching Steel Stitcher
 

過渡応答

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年12月 2日(日)10時29分56秒
編集済
  基本的なことの確認

図1は,入力に100Vの直流電圧(DC)と1kHzの正弦波交流(AC)10Vが直列につながった電源に
コンデンサC1(1uF:1μF)を介して,抵抗R1(10kΩ)につなげた回路。
図1の左側に示したのは,コンデンサの左側,入力側の電圧波形V(Vin)(赤色波形)と,
コンデンサの右側,出力側の電圧波形V(Vout)(緑色波形)。
入力には,100Vの直流と10Vの交流が入ってくるので,入力波形(赤色)は,交流に直流が
乗った(重畳した)波形になっているが,出力には直流は現れず,交流だけの波形(緑色)に
なっているのがわかる。これが,コンデンサの「直流阻止能力」である。
ただ,この状態は,いわゆる「定常状態」で,電源がつながれて十分時間がたった後の状態を
表している。普通の電気回路問題では,この「定常状態」を扱っていて「コンデンサは直流を
通さない!」と言っている。

図2左上は,連続的なAC10Vに,10ms遅れてDC100Vを重畳した場合の入力側波形V(Vin)(赤色波形),
なお,青色波形はパルス的に入れた直流DC波形を示している,赤色波形は,このDCも含めた
AC+DC波形である(すなわち,コンデンサの入力波形Vin)
図2左下は,コンデンサの出力側の波形V(Vout)(緑色波形)である。
これは,図1の場合と違って,交流に途中で直流が乗った直後の現象を示したもので,この状態
を図1の定常状態に対して「過渡状態」という。この応答を「過渡応答」,この現象を「過渡現象」
という。ここで着目するのは「コンデンサは直流は通さないが,変化する直流は通す」という
ことである。厳密にいうと「変化する直流」というのはおかしな表現で,直流の定義は「大きさ
と流れの方向が時間的に変化しない電流」であるので,コンデンサを通したあとの直流は,
いったん跳ね上がって,徐々に小さくなって,いずれはゼロになるので,これも交流の一種である,

ここで何を読み取ってほしいかというと,切開にしろ凝固にしろ,500kHz付近の交流に,なんらかの
直流が重畳すると,出力回路にコンデンサが直列に挿入されていても「一時,直流が流れてしまう」
「パルス状には直流が流れる」ということである。この過渡直流パルスは筋刺激のトリガになり得る
のである。もし,メス先アーク放電に整流作用があれば,メス先が生体に近づいてアークが飛んだ
瞬間に,過渡直流パルスが発生し,これが筋刺激を起こすことは十分考えられる。

今朝は,まず,基本的な電気工学の考え方の確認です。

図1 AC+DC電源にコンデンサをつないだ場合の出力電圧波形(定常状態)
図2 AC+DCパルスがコンデンサに入った場合,出力波形は,パルス減衰波形を描く(過渡現象)
 

メス先整流による筋刺激

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年12月 2日(日)08時44分28秒
  昨夜説明したように,反応しないハズの500kHz凝固出力による激しい筋攣縮は,どうやら高周波に
よる刺激ではなく,なんらかの低周波刺激が発生したことによるものではないか!との疑いから
直流をカットしない設定を施して,動物実験をした(1990年当時:ただし,この電気メス筋刺激の
実験のために,わざわざ動物実験をしたわけではなく,当時新しく導入した人工肺の特性を調べる
ための外科医の実験が終了するころ,便乗してこの実験をさせてもらった。←イイワケ。今の時代
もう,こんな実験はできないねえ)。

なお,この実験の前提には1986~1987年当時に,ハムでアーク放電による直流の発生実験が
もとになっていて,電気メスの出力に1:1の高周波トランス(トロイダルコアに1次巻線と
2次巻線を同数巻いたものを作った)をつけて,直流を阻止しないような実験器具を作っていた。
(電気メスの出力には,JISで定められたように,出力に5000pF(5nF)以下のコンデンサが挿入
されており,発生する直流はカットされるようになっている。)

実験結果は,表2のように,DC結合では,切開,凝固出力とも,「脚が跳ね上がる・激しい筋攣縮がおきる」
の激しい筋収縮反応が起きるのが分かった。コンデンサを挿入して,その値を小さくしていくと
反応は小さくなっていく。規格の0.005uF(5000pF)では,ほとんど反応しなかった。もっと小さく
すると「反応なし」になるが同時に「切開・凝固できない」という事態になるので,やはり,
5000pF程度が限界のようだ。

ただ,人での凝固出力での筋刺激に関する臨床観測とかなり反応が違う(臨床では50W出力で
激しい筋攣縮だが,犬による実験では,5000pFの時の凝固では120Wでも「反応なし」になって
いる)。この原因はこのままでは分からない(犬のほうが人より感電しにくいのだろうか?)。

多分,臨床の場合の凝固は,先に述べたように「チチッチ」という「断続接触」をするので
その影響だろうと思う。この辺の解析はまた今度。
 

電気メスによる筋収縮

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年12月 1日(土)20時54分23秒
編集済
  電気メスのメス先火花による整流現象については,1986~1987年ころにハムによる実験
で確かめていた。これが1990年ころ,実際の外科手術で,電気メス使用時に心室細動の
発生が2例起こったことをキッカケにして,術中観測や動物実験を繰り返して,生体反応
とその条件について実験研究を繰り返してきた。
これらのまとめは,2015年9月に秀潤社から刊行した「電気メス安全ハンドブック」の
[Ⅱ.応用編,4.電撃と対策(p.117-123)]に示しているが,その中のp.119の図表を
図1に引用した。

実際の手術で,腹部大動脈瘤や胆石など筋肉を切開する手術20例ほどを観察したところ,
通常,50W以上の凝固出力で使用しており,広い範囲で筋攣縮が起こっていた。火花の発生
状況と筋攣縮の程度は相関があった(表1)。

要するに「凝固刺激で感電する」ってことで,手術室勤務の臨床工学技士なら,だれでも
普通に見聞きして「知ってること」ですね。このことからして「なぜ,学校で習ったこと
に疑問を持たないのか!」ってことを自分に問わなくてはいけない。
学校では,「低周波では感電するが,高周波では感電しない」「だから,電気メスでは
500kHz以上の高周波を使う」「電気メスは切開できても感電はしない!」って習った。
でも現場では「違う!」って体験をする。ここに研究のタネがある。
その意味で「臨床現場は研究の宝庫」なのだ。(現場にいない今,ますますその感は強い。)

「1kHzまでは1mAでビリビリ感電する。ただし筋刺激はおこらない。1kHz以上では
周波数に比例して感電閾値は上がっていく。すなわち,500kHzでは500mAまでは感電
しない。」と習ってきている。
しかし,表1は,50Wの凝固出力で「激しい筋攣縮」が起こることが分かる。50Wでは
メス先抵抗が500Ωだとすると,I^2=√(50W/500Ω)だから(P=I^2*R),I=0.316A。
すなわち,300mAくらいで「激しい筋刺激」が起こっていることになる。上記の学校の
知識では500mAでやっと感電(感電とは単に「ビリビリ感じる」ことで,筋刺激などは
起こらない電気刺激のこと)するのに,臨床での経験は,300mAですでに「限界の危険」
ということになり,これが「直接心臓に流れれば,心室細動を起こしているハズ」になる
のである。でも,この程度の凝固は,外科手術では「日常茶飯」で,だれも危険性など
感じたことがない。

臨床工学技士は「習ったことを疑う」マインドを常に持たなければならない。
「そんなハズじゃなかったのに・・・」というのを常に自分のなかに問わなければならない。

と,お説教じみたことをいったが,今日は朝早くからここ横浜の戸塚から埼玉の春日部
まで,3県にまたがって旅をし,親戚の法事に出て来たので,だいぶ疲れた。もう眠い・・・
続きはまた明日。
 

電気メスと電撃

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年11月30日(金)15時52分46秒
編集済
  3つ私の記事を紹介しておく。
ほとんど図1の文献にまとめてある。
図2は少し前の予備実験
図3は,ここでも紹介した「電気メス安全ハンドブック」(p.117-123 4.電撃と対策)
(参照→電気メスの本,出ました  投稿者:Tessho  投稿日:2015年 9月14日(月)21時47分59秒)
気が向いたら,探して読んで下さい。

こうしてみると,1990年前後から30年間,何も進歩していない自分を感じる。嗚呼。
(内容については,これから徐々に解説する)
 

整流器

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年11月30日(金)14時50分29秒
編集済
  Wikipediaでは,整流器として
水銀整流器(エキサイトロン)
熱陰極水銀整流管
亜酸化銅整流器
セレン整流器
ダイオード (シリコン整流器・ゲルマニウム整流器)
二極真空管
があると言っている。

ダイオードというのは2極素子という意味なんで,二極真空管もダイオードになる。
しかし,現在では「ダイオード=半導体素子」ってことになってるよね。

整流器(ACからDCを作る素子)の歴史を調べようとすると結構大変。
いくつか面白い記述が見つかる。

===
二極真空管に整流特性、エジソン効果が発見されたのが1884年。そして、
実にその8年前の1876年にはセレンの整流作用が発見されていました。
このように、半導体の特性を利用して整流効果をだすダイオードの歴史は
極めて古い…。でも、真空管よりも古いというのは、ちょっと意外な感じですね。
===

亜酸化銅整流器やセレン整流器は,1925年に酸化銅整流器,1933年にセレン整流器
が生まれたと書いてあった。(セレン整流器はもっと古いというのもあった)

===
真空管はエジソンが最初に2極真空管の特許を1884年に取得しました。
その後フレミングが発明(1904年)した素子が2極真空管
===
私が「ラジオ少年」(1957年~)だったころは,もちろん真空管時代。
12Fとか80とかの整流管を使っていた。

大電力用として登場するのが水銀整流器
===
水銀整流器は1900(明治33)年、米国のクーパー・ヒューイットが水銀アークの整流性を利用して
ガラス製水銀整流器を発明した。この研究には米国GE社や米国ウェスチングハウス社(WH社)が
協力し、1911(明治44)年には500V40A級が製作され、ガラス製水銀整流器の技術が確立した。
===
そうです。(水銀整流器は「アーク放電の整流作用の利用」となっているので,この辺
を勉強すると,電気メスの火花による整流も分かるかもしれない・・・。)

今は,電子回路も工場もほとんどが大電力半導体整流素子が使われる。
 

ダイオードがない時代

 投稿者:もも  投稿日:2018年11月30日(金)11時53分12秒
  小野塾長

ダイオードが発明される以前から交流電源はあったのですが、どうやって整流してたのでしょう。
 

JISに見る”火花整流”

 投稿者:Tessho  投稿日:2018年11月30日(金)10時23分39秒
  電気メスに関するJISは,JIST0601-2-2:2014
「医用電気機器-第2-2部:電気手術器(電気メス)及びその附属品の基礎安全及び基本性能に関する個別要」
がある。

この中で「火花放電による整流効果」は謳っていて,その防止策も規格に盛り込まれている。
手元にJIS T 0601-2-2:2009しかないので,文章は少し違うかもしれないが(ほとんど
一緒だと思う)引用すると,次のように付属書AA(要求箇条の解説)に書かれている。
――――――――
201.8.4.102† 神経・筋の刺激
アクティブ電極と生体組織との間の放電による整流効果によって,直流及び
低周波成分が神経・筋を刺激する可能性がある。直列に挿入する容量及び並列に
挿入する抵抗に適切な値を設定することで,この望ましくない刺激を効果的に
軽減できる。
――――――――
と,「アクティブ電極と生体組織との間の放電による整流効果によって」とはっきり書いてある。
電気メスの世界ではよく知られた事実であるが,このメカニズムについては説明がない。
(私の知る限り,きちんとした研究もないようだ。)

また,規格では,この直流分を阻止する目的でコンデンサが回路に直列に挿入されることも
要求事項として述べられている。
―――――――――――
201.8.4.102 *神経・筋の刺激
神経・筋の刺激を低減するために,アクティブ電極又はバイポーラ電極の片側の導体
と直列になるように,患者回路にコンデンサを入れる。このコンデンサは,モノポーラでは
5nF,バイポーラでは 50nF を 超えてはならない。アクティブ電極と対極板との間又は
バイポーラ出力回路の端子間の直流抵抗は,2MΩ 以上とする。
――――――――――――

昔の私の論文を掘り起こして,電気メスの筋刺激についての,動物実験の結果を後ほど示そう。
 

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