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仲宗根君のプロフィール

 投稿者:松川  投稿日:2018年 1月28日(日)17時25分50秒
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  TVドキュメンタリー・ディレクター。イタリア在住。東京、ニューヨーク、ミラノの順にドキュメンタリー、報道番組を中心に監督、制作。米PBSのド キュメンタリー・シリーズ「Faces of Japan―のりこの場合」により、モニター賞ニュース・ドキュメンタリー部門最優秀監督賞受賞(ニューヨーク)。1990年以降、番組制作プロダクション「ミラノピュー」代表(イタリア)。フリーランスとなってからは兼ブロガー(自称)。 また方程式【もしかして(日本+イタリア)÷2=理想郷?】の解読にも頭を悩ませている愚か者。慶應義塾大学、ロンドン国際映画学校卒。

僕の妻の実家は北イタリアの古い貴族家である。文献や家系図では、家の興りは13世紀頃まで遡(さかのぼ)ることができる。

一家はオーストリア女王のマリアテレジアによって伯爵に叙せられた。マリアテレジアはイタリア語ではマリアテレザである。女王にあやかって付けられた名前はイタリアにも多いが、妻の名もたまたまそのうちのひとつでマリアテレザという。

女王が家に与えた爵位には男女の区別はない。従って、呼び方が女性形になるが、妻自身も伯爵である。同時に彼女は伯爵家の18代目の跡取りでもある。

つまり僕は、ヨーロッパの女伯爵を妻に持つ一介の日本人である。これが僕のカミングアウトだ。

こう書くと大変な女傑と暮しているように聞こえるかも知れないが、妻はいたって普通の大人しい女性である。若い頃はイタリア人らしくピーチクパーチク良くしゃべったが、最近は少し年を取ってきてカラスみたいにギャーギャーわめくこともある。

僕は最近まで、妻と妻の実家の事情を隠す努力をずっと続けてきた。


理由は、今でも大きな存在感を持つ彼女の実家に、僕が経済的に世話になっているのではないか、と人に勘ぐられるのがシャクだったからである。

僕は妻の実家とは良好な関係にあるが、彼女の実家からは一銭の援助も受けたことはない。自分の甲斐性で妻と二人の息子をきちんと養ってきた。しかし、伯爵家のことを知れば、人は必ず玉の輿ならぬ「逆玉の輿」などと陰口をたたくだろう。その方が話が面白い。僕がいくら弁解をしようとも、人の口に戸は立てられない。僕もヤジウマ根性盛んなテレビ屋の端くれだ。それぐらいの認識はある。

とは言うものの、僕はヨーロッパの歴史がいっぱいに詰まった伯爵家の有り様(よう)を、日本人にも知ってほしいと強く思ってもきた。家屋が博物館などになって過去の遺産として展示されている貴族の歴史などではなく、今でも実際に人が住まい、呼吸し、生き生きと活動している貴族館の様子を実体験として味わってもらう。

それはめったにできないことだし、面白くて少しはためにもなる貴重な体験だと僕はいつも信じていた。なぜなら、僕自身にとっての伯爵家とは、いつもそういうものであり続けていたから。

そこで自分の中で基準を設けて、それに当てはまる人だけを家に招待した。その基準とは「僕がギャクタマ男の、怠惰なヨタロー的人物ではないことを知っている人々(笑)」というものだった。

その筆頭は家族や友人である。でも日本で普通に仕事をこなし、生活をしている彼らは、そう簡単にはイタリア旅行はできない。従って数は限られた。

次には仕事関係の友人知人。仕事上の付き合いだから、当然彼らは僕の仕事振りを知っているし信頼関係もある。その流れで、大きくお世話になったNHKとWOWOWのプロデュサーやスタッフを中心とする人々に落ち着いた。つまり僕にとってのいわば内輪の皆さんには、妻と伯爵家のことは実は周知のことではあったのである。

このブログを書き続けるなら、僕はどこかで伯爵家のことを話さなければならないと分かっていた。なぜなら、僕が伯爵家から金銭的な援助を受けていない事実を別にすれば、その家の存在は、イタリアに移住してからの僕と僕の家族の生活に深く関わりを持ち続けてきたし、これからも関わり続ける。僕と妻はロンドンで出会い、結婚して東京に移住し、そこからニューヨークに移り住んで、最後に妻の国ここイタリアにやって来たのである。

また、ブログに記す事柄の中には、伯爵家のことを話しておかなければ、恐らく意味が良く分からないような内容も出てくるに違いない。

僕は思い迷った末にこうしてカミングアウトすることにした。

そうすることで、もしかすると自慢だ、気取りだ、威張っているなどと誤解や曲解を受けることがあるかも知れない、とチラと考えないでもなかった。しかし、そういうことは何をどう書いても必ず起こることだから悩んでも仕方がない。あえて無視して僕は早いうちにこうして告白をしておこうと決めたのである。

僕は妻の出自を自慢したりする気は毛頭ないけれども、根が軽佻浮薄でアバウトでノーテンキな男だから、またできれば常にそうありたいと努力をしているつもりの人間だから、伯爵家の在り方や歴史などをひどく面白がる傾向がある。

カミングアウトをした以上は、そうしたことも今後できるだけ書いていくつもりだが、それを自慢や得意やおごりなどと捉えられても困る。

なぜなら、もしかすると、まさにそれが僕のねらいかもしれないではないか
 
 
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